谷口崇(ILCA)

連続小説『夕立のあとに』~第4話~
その声で振り向いたのは、あの男の子。初めてきちんと見た彼の顔は、詩織の方に優しく微笑みかけていたが、その目は閉じたままだった。「どこかでお会いしましたか?」微笑みながらも不思議そうに首をかしげる彼に、詩織はなんとか声をかけた。「あのときは、ごめんなさい!」返事はない。「…あ!私はあの…音楽室で…」詩織のあわてる姿が見えるかのように彼はフフッと笑い、前を向いた。「謝らなくても大丈夫です。僕には、謝られるようなことはありません。」バスがゆっくりと停留所に入ってくる。ドアが開く音。その音に被せるように、彼はつぶやいた。「謝ることがあるのは、僕だ。」「え?」振り向いた詩織の顔を手が横切り彼の肩を包む。「おはよう。」あのときの女子生徒。彼女はバスから降りて彼の背中に手を添え、バスの中へと消えた。「乗りますか?」運転手の声で我に返った詩織は、あわててバスに乗った。

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